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第53回 通関業法関係(解答・解説)

通関業法関係(問題) 関税法等(問題) 通関書類の作成要領(問題)
通関業法関係(解答・解説) 関税法等(解答・解説) 通関書類の作成要領(解答・解説)
【選択式】
第1問(通関業法の目的及び用語の定義)

《正解》イ-⑩通関業を営む者 ロ-①規制 ハ-④申告納付 ニ-⑫適正かつ迅速 ホ-⑦代理又は代行

〈参照条文〉
1 通関業法第1条(目的)
2 同法第2条第1号イ(1)(定義)

第2問(通関業の許可に係る欠格事由)

《正解》イ−⑭通告の旨を履行した日 ロ−③3年 ハ-⑮罰金以上の刑 ニ-⑤5年 ホ-②2年

〈参照条文〉
・ 通関業法第6条第4号イ(欠格事由)
・ 同法第6条第5号(同上)
・ 同法第6条第7号(同上)
・ 同法第6条第9号(同上)

第3問(地位の承継)

《正解》イ-⑦全員の同意 ロ-②60日以内に ハ-④あらかじめ ニ-⑬分割により通関業を承継した法人 ホ-⑨取り消し、変更し

〈参照条文〉
1 通関業法第11条の2第1項、第2項(許可の承継)
2 同法第11条の2第4項(同上)
3 同法第11条の2第6項(同上)

第4問(通関士の審査等)

《正解》イ-⑪通関書類 ロ-⑩通関業務 ハ-⑬内容 ニ-⑥記名押印 ホ-③及ぼす

〈参照条文〉
1 通関業法第14条(通関士の審査等)
2 同法第21条(押印等の効力)

第5問(監督処分及び懲戒処分)

《正解》イ-⑨信用 ロ-⑫通関業者の責めに帰すべき理由 ハ-①1年以内 ニ-⑦戒告 ホ-④2年間

〈参照条文〉
1 通関業法第34条第1項第2号(通関業者に対する監督処分)
2 同法第35条第1項(通関士に対する懲戒処分)

第6問(通関業務及び関連業務)

《正解》2、3、4

〈解説〉
(正=2、3、4)

2 認定通関業者は、通関業務を行う営業所を新設しようとする場合には、通関業法第8条第1項の規定に基づく財務大臣の許可を受けることなく、財務大臣にその旨を届け出ることができ、当該届出が受理された時において、営業所の新設の許可を受けたものとみなして、通関業法の規定が適用される《通関業法第9条》。

3 財務大臣は、通関業の許可をしようとするときは、その申請者について、通関業の経営の基礎が確実であることなど、許可の基準に適合するかどうかを審査しなければならない《同法第5条第1号》。

4 財務大臣は、通関業の許可をしようとするときは、その申請者が通関業務を適正に遂行することができる能力を有し、かつ、十分な社会的信用を有していることなど、許可の基準に適合するかどうかを審査しなければならない。「人的構成に照らし」とは、許可申請者及び通関士その他の従業者全体の人的資質に関する評価をいうほか、全体として、組織体制が確立しているかどうかの評価も含まれる《同法第5条第2号、同法基本通達5-2(1)》。

(誤=1、5)

1 平成29年10月に施行された通関業法の改正により、通関業の許可は財務大臣の権限とされ、通関業に係る営業区域の制限は撤廃された。したがって、通関業者は、複数の税関の管轄区域内において通関業を営む場合であっても、その管轄区域ごとに通関業の許可を受ける必要はない《同法第3条第1項》。

5 財務大臣は、通関業の許可をしようとするときは、許可申請に係る通関業を営む営業所につき、通関業務を適正に行うに必要な員数の通関士が置かれているかどうかを審査しなければならない《同法第5条第3号》。

第7問(更正に関する意見の聴取及び検査の通知)

《正解》1、2、4

〈解 説〉
(正=1、2、4)

1 税関長は、通関業者に対して検査の立会いを求める旨を通知した場合において、当該通関業者又はその従業者が立ち会わないときは、立会いのないまま検査をして差し支えない《通関業法第16条、同法基本通達16-1(2)》。

2 税関長は、税関職員に保税展示場に入れようとする外国貨物について必要な検査をさせるときは、通関手続の迅速化、適正化等のため、その通関業者に立会いを求める旨の通知をしなければならない《同法第16条、同法施行令第7条第3号》。

4 税関長は、関税率表の適用上の所属の相違に基因する増額更正をするときは、納税者の正当な利益を確保するため、その通関業者に対し、当該相違に関し意見を述べる機会を与えなければならない《同法第15条》。

(誤=3、5)

3 税関長は、計算又は転記の誤りその他これに類する客観的に明らかな誤りに基因する増額更正をするときは、納税者の正当な利益を害するおそれはないので、通関業者に対し、当該誤りに関し意見を述べる機会を与える必要はない《同法第15条ただし書》。

5 税関長は、税関職員に積戻ししようとする外国貨物について必要な検査をさせるときは、通関業者に立会いを求める旨の通知をしなければならない《同法第16条、同法施行令第7条第1号》。

第8問(通関業者又は通関士の義務)

《正解》1、2、3、5

〈解説〉
(正=1、2、3、5)

1 通関業者は、その営業所において取り扱う通関業務に係る貨物が、通関業の許可の条件として一定の種類の貨物のみに限られている場合には、当該営業所に通関士を置くことを要しないが、「一定の種類の貨物のみに限られている場合」とは、その行う通関業務に係る貨物が一定の種類に限られており、通関業務の内容が簡易かつ、定型化されている場合をいう《通関業法第13条ただし書、同法基本通達13-1》。

2 通関業者及び通関士等は、その依頼者の利益を保護する観点から、正当な理由がなくて、通関業務に関して知り得た秘密を他に漏らし、又は盗用してはならないこととされているが、正当な理由がある場合には、守秘義務が免除される。この「正当な理由がある場合」とは、「法令に規定する証人、鑑定人等として裁判所において陳述する場合」等をいう《同法第19条、同法基本通達19-1(1)ロ》。

3 平成29年10月に施行された通関業法の改正により、通関業務料金の自由化が図られたことから、通関業者がその営業所に掲示する料金表の様式及び掲示場所についても、社会通念上妥当と考えられる方法により各通関業者が自由に定めることができることとされた《同法第18条、同法基本通達18-1なお書》。

5 通関業者及び通関士等は、正当な理由がなくて、通関業務に関して知り得た秘密を他に漏らし、又は盗用してはならないものとされているが、この「通関業務に関して知り得た秘密」とは、通関業務を行うに当たって依頼者の陳述又は文書等から知り得た事実で一般に知られておらず、かつ、知られないことにつき、依頼者又はその関係者に利益があると客観的に認められるものをいう《同法第19条、同法基本通達19-1(2)》。

(誤=4)

4 通関業者及び通関士等は、正当な理由がなくて、通関業務に関して知り得た秘密を他に漏らし、又は盗用してはならないものとされているが、依頼者の許諾がある場合には、正当な理由がある場合に該当し、守秘義務が免除される《同法第19条、同法基本通達19-1(1)イ》。

第9問(記帳、届出、報告等)

《正解》3、4、5

〈解説〉
(正=3、4、5)

3 通関業者が財務大臣に提出しなければならないこととされている定期報告書については、所定の報告期間ごとに、毎年6月30日までに提出しなければならない《通関業法第22条第3項、同法施行令第10条第1項》。

4 通関業者が設けなければならない通関業務に関する帳簿には、通関業務を行う営業所ごとに、その営業所において取り扱った通関業務の種類に応じ、その取り扱った件数及び受ける料金を記載するとともに、通関業務1件ごとの明細を記載しなければならない《同法第22条第1項、同法施行令第8条第1項》。

5 通関業者が財務大臣に提出する定期報告書には、報告期間中に取り扱った通関業務についての種類別の件数及び受ける料金の額を記載しなければならない《同法第22条第3項、同法施行令第10条第1項第1号》。

(誤=1、2)

1 通関業者は、通関業務に関し帳簿を設け、その収入に関する事項を記載し、当該帳簿を閉鎖の日後3年間(「5年間」ではない。)保存しなければならない《同法第22条第1項、同法施行令第8条第3項》。

2 通関業者は、通関士その他の通関業務の従業者に異動があった場合には、その都度(「異動の日後60日以内」ではない。)、当該異動の内容を財務大臣に届け出なければならない《同法第22条第2項、同法施行令第9条第1項》。

第10問(通関士となる資格及び資格の喪失)

《正解》1、5

〈解説〉
(正=1、5)

1 通関士試験は、全国一律に実施されるものであり、通関士試験に合格した者は、どの税関の管轄区域内においても、通関士となる資格を有する《通関業法第25条》。

5 通関士は、財務大臣の確認を受けた通関業者の通関業務に従事しないこととなったときは、その資格を喪失し、通関士でなくなる《同法第32条第1号》。

(誤=2、3、4)

2 通関士は、偽りその他不正の手段により財務大臣の確認を受けたことが判明したときは、通関士の資格を喪失し、通関士でなくなるが、当該確認を受けた通関業者のその他の通関業務の従業者として通関業務に従事することは禁止されていない《同法第32条第4号、同法基本通達32-1(1)》。

3 通関士が関税法第108条の4から第112条までの規定に該当する違反行為をして罰金の刑に処せられ又は通告処分を受けた場合には、欠格事由に該当することとなるので、通関士でなくなるが、通関士試験の合格の決定が取り消されることはない《同法第32条第2号、同法基本通達32-1(4)》。

4 偽りその他不正の手段により財務大臣の確認を受けたことが判明した者は、通関士の資格を喪失し、通関士でなくなるが、通関士試験の合格の事実を偽って確認を受けた場合は、当初から通関士となる資格を有しないものであり、資格の喪失理由には該当しない《同法第32条第4号、同法基本通達32-1(4)なお書》。

【択一式】
第11問(通関業務及び関連業務)

《正解》

〈解説〉
(誤=5)

5 他人の依頼によってその依頼をした者を代理してする蔵入承認申請の代理は、通関業務(「関連業務」ではない。)とされている《通関業法第2条第1号イ(1)(四)》。

(正=1、2、3、4)

1 通関業者は、通関業務のほか、その関連業務として、通関業者の名称を用いて、他人の依頼に応じ、通関業務に先行し、後続し、その他当該業務に関連する業務を行うことができるが、通関業法以外の法律において行うことが制限されている事項については、この限りでない《同法第7条》。

2 他人の依頼によってその依頼をした者を代理してする輸入貨物に係る課税標準の教示の求めは、通関業務に先行する関連業務とされている《同法基本通達7-1(1)イ》。

3 通関業者は、依頼者の保護の観点から、通関業務及び関連業務の料金の額を営業所において依頼者の見やすいように掲示しなければならない。また、支払額に係る予見可能性を確保するために、貨物の特性、取扱規模等の事情により料金に割増・割引が生じる場合等についてはその適用がある旨を、料金の額に含まれない実費を別途請求する場合についてはその旨を料金表に記載しなければならない《同法第18条、同法基本通達18-1》。

4 他人の依頼によってその依頼をした者を代理してする見本の一時持出許可申請は、通関業務に先行する関連業務とされている《同法第7条、同法基本通達7-1(1)ニ》。

第12問(通関業の許可及び営業所の新設)

《正解》3

〈解説〉
(正=3)

3 通関士及びその他の通関業務の従業者による在宅勤務を導入する場合においては、当該勤務場所(自宅)は当該従業者の所属する営業所の一部となり、当該勤務場所について営業所の新設に係る手続は要しない《通関業法基本通達8-1なお書》。

(誤=1、2、4、5)

1 認定通関業者である通関業者は、通関業務を行う営業所を新たに設けようとする場合には、財務大臣にその旨を届け出ることができるが、通関業の許可に条件が付されている場合であって、当該条件の範囲を超えて通関業務を行う営業所を新たに設けようとするときは、許可条件の変更が必要となる《同法第9条第1項、同法基本通達9-1(4)、3-7(2)》。

2 通関業の許可を受けた者が、新たに営業所を設けようとする場合には、通関業法第8条に規定する財務大臣の許可を受ける必要があり、その許可に際しての条件の付与等は、通関業の新規許可に準ずることとされていることから、その営業所の新設の許可にも条件を付することができる《同法第8条》。

4 平成29年10月に施行された通関業法の改正により、認定通関業者が通関業務を行う営業所を新設しようとする場合には、財務大臣の許可を受けることなく、財務大臣にその旨を届け出ることができることとされた《同法第9条第1項》。

5 通関業法第10条第1項の規定に基づき通関業の許可が消滅した場合において、現に進行中の通関手続があるときは、その円滑な実施を図るため、当該手続については、当該許可を受けていた者が引き続き当該許可を受けているものとみなされるが、このような取扱いは、許可の取消しを受けた者に対しては、認められていない《同法第10条第1項、第3項、同法基本通達10-1》。

第13問(通関業の許可の消滅及び許可の取消し)

《正解》1

〈解説〉

(正=1)

1 通関業者である法人が合併により解散した場合には、当該法人を代表する役員であった者は、遅滞なくその旨を財務大臣に届け出なければならない《通関業法第12条第3号、同法施行令第4条第4号》。

(誤=2、3、4、5)

2 通関業者が破産手続開始の決定を受けたことにより、その通関業の許可が消滅した場合において、現に進行中の通関手続があるときは、その円滑な実施を図るため、当該手続については、当該許可を受けていた者(「破産管財人」ではない。)が引き続き当該許可を受けているものとみなされる《同法第10条第3項》。

3 通関業者が偽りその他不正の手段により通関業の許可を受けたことが判明したとしても、財務大臣が当該許可を取り消さない限り、当該許可が消滅することはない《同法第11条第1項第1号》。

4 通関業者である法人が合併により解散したことにより、その通関業の許可が消滅した場合において、現に進行中の通関手続があるときは、当該手続については、合併後存続する法人又は合併により設立された法人(「当該法人を代表する役員であった者」ではない。)が引き続き当該許可を受けているものとみなされる《同法第10条第3項》。

5 通関業者が関税法第111条の規定に該当する違反行為をして通告処分を受けたとしても、財務大臣が通関業の許可を取り消さない限り、当該許可が消滅することはない《同法第11条第1項第2号》。

第14問(変更等の届出)

《正解》0

〈解説〉
(誤=0)

(正=1、2、3、4、5)

1 通関業者は、その氏名又は名称及び住所並びに法人である通関業者にあってはその役員の氏名及び住所に変更があった場合には、税関による通関業者の適正な管理監督のため、遅滞なくその旨を財務大臣に届け出なければならない《通関業法第12条第1号、第4条第1項第1号》。

2 通関業者は、通関業務を行う営業所の名称及び所在地に変更があった場合には、遅滞なくその旨を財務大臣に届け出なければならない《同法第12条第1号、第4条第1項第2号》。

3 通関業者は、通関業務を行う営業所ごとの責任者の氏名及び通関士の数に変更があった場合には、遅滞なくその旨を財務大臣に届け出なければならない《同法第12条第1号、第4条第1項第3号》。

4 通関業者は、通関業以外に営む事業の種類に変更があった場合には、遅滞なくその旨を財務大臣に届け出なければならない《同法第12条第1号、第4条第1項第5号》。

5 通関業者である法人が合併又は破産手続開始の決定以外の理由により解散し、その通関業の許可が消滅した場合には、税関において許可の消滅に伴う手続を確実に行うために、清算人は、遅滞なくその旨を財務大臣に届け出なければならない《同法第12条第3号、同法施行令第4条第5号》。

第15問(通関士の設置)

《正解》3

〈解説〉
(正=3)

3 通関業者は、通関士の設置を要しない営業所であっても、通関士を置いた場合には、当該通関士に通関書類の審査をさせなければならない《通関業法基本通達14-1》。

(誤=1、2、4、5)

1 財務大臣は、通関業者が通関士を置かなければならないこととされる営業所に通関士を置かない場合には、通関業法に違反するので当該通関業者に対し監督処分をすることができる。形式的に通関業法違反の外観を呈していることをもって直ちに監督処分をすることは行政庁の裁量権の濫用に当たるおそれがあり、意図的に当該違反行為に及んだものではことが明らかな事情がある場合には、財務大臣は、当該事情を勘酌して監督処分をしないことができる(財務大臣は、「その理由にかかわらず」監督処分をすることはできない。)《同法第34条第1項第1号、行政事件訴訟法第30条参照》。

2 通関業者は、通関業務を適正に行うため、その通関業務を行う営業所ごとに、通関業務に係る貨物の数量及び種類並びに通関士の審査を要する通関書類の数、種類及び内容に応じて必要な員数の通関士を置かなければならないが、設置すべき通関士の員数については、通関業者自身が判断するものとされている《同法第13条、同法施行令第5条、同法基本通達13-3》。

4 平成29年10月に施行された通関業法施行令の改正により、通関士の設置を要することとされる営業所ごとに、専任の通関士1人以上を置かなければならないとする規定(旧通関業法施行令第4条第1項)は廃止されたので、専任の通関士を置く必要はない。

5 通関業法には、通関業者について、通関士が通関士の資格を喪失し、当該営業所に通関士を置かない状況に至ったときは、2月以内に当該営業所に通関士を置くため必要な措置をとらなければならないとする旨の規定はない。

第16問(通関業者及び通関士の義務)

《正解》

〈解説〉
(誤=2)

2 通関業法には、通関業者の合併について、財務大臣の承認を受けなければならないとする旨の規定はない。

(正=1、3、4、5)

1 通関業者は、その依頼者の便宜や利益保護の観点から、通関業務及び関連業務の料金の額を営業所において依頼者の見やすいように掲示しなければならない《通関業法第18条》。

3 通関業者は、依頼者の利益を保護するため、その名義を他人に通関業のため使用させてはならない《同法第17条》。

4 通関業者(法人である場合には、その役員)及び通関士その他の通関業務の従業者は、その依頼者の利益を保護するため、正当な理由がなくて、通関業務に関して知り得た秘密を他に漏らし、又は盗用してはならない《同法第19条》。

5 通関業者(法人である場合には、その役員)及び通関士は、通関業者及び通関士に対する社会的な評価の保持のため、通関業者又は通関士の信用又は品位を害するような行為をしてはならない《同法第20条》。
なお、その他の通関業務の従業者については、通関業法上特別な地位を与えられていないことから、この規制の対象から除外されている。

第17問(記帳、届出、報告等)

《正解》

〈解説〉
(誤=3)

3 認定通関業者であっても、税関による適切な指導監督のため、通関業務を担当する役員及び通関士その他の通関業務の従業者の氏名及びその異動を財務大臣に届け出なければならない《通関業法第22条第2項》。

(正=1、2、4、5)

1 通関業者は、税関による適切な指導監督のため、その取扱いに係る通関業務及び関連業務に関する書類をその作成の日後3年間保存しなければならない《同法第22条第1項、同法施行令第8条第3項》。

2 通関業者は、税関による適切な指導監督のため、通関業務を担当する役員及び通関士その他の通関業務の従業者に異動があった場合には、その都度、これらの者の氏名及びその異動の内容を財務大臣に届け出なければならないが、通関業者において経理事務や施設管理のための庶務作業のみを行う者等については、通関業務の従業者には当たらないので、その異動があったとしても、財務大臣に届け出る必要はない《同法第22条第2項、同法施行令第9条第1項、同法基本通達22-1(3)》。

4 通関業者が保存しなければならない通関業務に関する書類は、設問に記述されている書類とされている《同法第22条第1項、同法施行令第8条第2項》。

5 法人である通関業者が財務大臣に提出する定期報告書には、経営実態を明らかにするため、報告期間に係る事業年度の貸借対照表及び損益計算書を添付しなければならない《同法第22条第3項、同法施行令第10条第2項》。

第18問(財務大臣の確認)

《正解》3

〈解説〉
(正=3)

3 関税法第108条の4から第112条までの規定に該当する違反行為をした者であって、当該違反行為があった日から2年を経過しないものは、通関士となることができない《通関業法第31条第2項第2号、第6条第4号イ》。

(誤=1、2、4、5)

1 財務大臣による通関士の確認は、通関士試験に合格した者について欠格事由等の該否を確認するものであることから、既に通関士を置いている営業所であっても、通関士試験の合格者を新たに通関士として通関業務に従事させようとするときは、その者につき財務大臣の確認を受けることを要する《同法第31条第1項》。

2 通関士となる資格について、期間により制限する規定はない。したがって、通関士試験合格後2年以内に財務大臣の確認を受けなくても、通関士となる資格を喪失することはない《同法第32条参照》。

4 通関業者が通関士を他の営業所に異動させたとしても、当該通関士が通関士でなくなるわけではないので、改めて財務大臣の確認を受ける必要はない《同法第31条、同法基本通達31-1(3)なお書》。

5 通関業法には、財務大臣による通関士の確認について有効期間を定める規定はない《同法第31条》。

第19問(業務改善命令、監督処分及び懲戒処分)

《正解》

〈解説〉
(正=4)

4 依頼者保護の見地から、何人であっても、通関業者又は通関士に監督処分又は懲戒処分に該当する事実があると認めたときは、財務大臣に対し、その事実を申し出て、適当な措置をとるべきことを求めることができる《通関業法第36条》。

(誤=1、2、3、5)

1 財務大臣は、通関業者に対する監督処分又は通関士に対する懲戒処分をしたときは、いずれも遅滞なくその旨を公告しなければならない《同法第34条第2項、同法第35条第2項》。

2 財務大臣は、通関士に対する懲戒処分をしようとするときは、当該通関士がその業務に従事する通関業者の意見を聴かなければならないが、審査委員の意見を聴く必要はない《同法第37条第1項》。

3 通関業法には、財務大臣による業務改善命令について審査委員の意見を聴かなければならないとする旨の規定はない《同法第33条の2》。

5 財務大臣は、通関業の適正な遂行のために必要があると認めるときは、その必要の限度において、通関業者(「通関士」ではない。)に対し、その業務の運営の改善に必要な措置をとるべきことを命ずることができる《同法第33条の2》。

第20問(罰則)

《正解》

〈解説〉

(誤=0)

(正=1、2、3、4、5)

1 正当な理由がなくて、通関業務に関して知り得た秘密を他に漏らし、又は盗用した通関業者、その役員又は通関士その他の通関業務の従業者は、1年以下の懲役又は100万円以下の罰金に処せられることがあるが、この罪は、被害者保護の観点から、被害者からの告訴がなければ公訴を提起することができない《通関業法第41条第1項第3号、第2項》。

2 財務大臣による業務改善命令に違反した者は、50万円以下の罰金に処せられることがある《同法第43条第1号》。

3 自らの通関士の名義を他人に通関業務のため使用させた通関士は、30万円以下の罰金に処せられることがある《同法第44条第2号》。

4 通関業者という名称の使用制限に違反した者は、30万円以下の罰金に処せられることがある《同法第44条第3号》。

5 法人である通関業者の従業者が、その法人の業務に関し、その通関業者の名義を他人に通関業のため使用させたときは、当該従業者を罰するほか、当該法人に対しても罰金刑が科されることがある《同法第44条第1号、第45条》。