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●WTO
2022年6月12日に開催された世界貿易機関(WTO)の第12回閣僚会議は、当初の3日間の会期予定を延長して6月17日に閉幕した。COVID-19のパンデミックの影響もあり、二度にわたり延期され約4年半振りの開催となった。
今回の会議では、特にロシアのウクライナ侵攻によって生じた穀物価格の高騰、各国の貿易規制の導入への対応が主要議題の一つとなった。また長年にわたって懸案事項とされていた漁業補助金の扱い、新型コロナウィルスのワクチンについての対応、更にはWTOの改革問題も焦点となった。
最終的にパッケージとして採択された合意事項の主な内容は次の通りである。
食料安全保障に係る農産品貿易に関しては、WTOルールに合致しない輸出の禁止や規制は行わないことの重要性が再認識され、食料安全保障のために緊急措置を導入する場合は、貿易を歪めないよう最小限のものとすること、またその措置は一時的なものとし、さらにその対象を明確にし、透明性を確保すること、WTOルールに従って通報すること、途上国への影響に配慮することについて合意された。ただし、世界食料計画(WFP)が購入する人道支援のための食料はその対象外とすることについても合意された。
漁業補助金の問題に関しては、それが乱獲に繋がり、水産資源を枯渇させるとの危機感から長年にわたりWTOで協議が続けられてきたが、今次会議では、違法、無報告、無規制(IUU)の漁業に対する補助金は規制の対象とすること、今後途上国に対してどのような特別措置を認めるか等については継続協議とすること等が合意され、また新型コロナウィルス・ワクチンについて途上国等に対しワクチンの製造、供給に必要な特許を権利者の同意なく使用することを認めること、その実施期間は5年間(一般理事会により延長は可能)とすること等が定められた。さらに、WTOの改革問題に関しては、紛争解決機関、特に最終審に当たる上級委員会が機能不全に陥っていることが大きな問題となっているが、会議ではこの課題に対処することの重要性と緊急性が認識され、2024年までにすべての加盟国が利用できる完全で、十分機能する紛争解決制度の実現を目指すことにコミットすることとなった。
以上のほか、電子送信に対する関税の一時停止措置の延長についても合意され、次回の第13回閣僚会議までは現行の無関税の扱いが継続される。
次回の閣僚会議の日程、開催地については、一般理事会で今後協議されるが、2023年末までに開催されると見込まれている。
WTOのオコンジョイウェアラ事務局長は、会議の閉幕に当たって、今回の合意によってWTOが現下の緊急事態に応えることができることを示したと述べ、加盟国は地政学的な分断を越えて、地球的規模の課題に取り組み、WTOを強化し、さらに活性化させるため団結できることを世界に示すことができたことを強調した。
(出典:2022年6月17日付けのWTO事務局のプレスリリース等)