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●USTR
米通商代表部(USTR)は2022年3月、バイデン政権の「2022年の通商政策課題と2021年の年次報告書」を議会に提出した。議会への提出は米通商法でUSTRに義務付けられている。
2022年の通商政策の目標として掲げられているのは、公正な競争を通じて米国の中産階級を育成し、不平等を是正し、公平な競争条件を目指し、公正で、開放的な貿易システムを構築することである。このため労働者中心の通商政策を進め、脱炭素化その他重要な環境基準のさらなる強化、国内の農業従事者への支援、持続可能で、強靭なサプライチェーンの構築等のための新たな貿易ルールを目指して貿易パートナー、同盟国と集中的に作業を進めるとの方針を打ち出している。この関連でこれまで達成された成功例について触れ、底辺への競争に取り組むため企業へのグローバルミニマム課税が合意されたこと、EUとの間で鉄鋼・アルミニウムの世界的な過剰生産能力の問題等に取り組んだこと、米国とEU・英国との間で長年懸案とされていたボーイングとエアバスの大型旅客機への補助金問題について解決できたことを挙げ、これらを弾みにしてさらに広範な目標に向けてあらゆる手段を活用して取り組むとしている。
2022年の通商政策として具体的に挙げられているのは、①労働者中心の通商政策の推進、②米中貿易関係の再編、③貿易パートナー、同盟国、国際機関との関係強化、④貿易協定等の執行の強化、⑤公平で、包括的且つ持続的な通商政策の推進とすべての利害関係者の関与の拡大、の5点である。
特に、労働者中心の通商政策として、労働者の権利を守るだけでなく、労働者がスキルと創造性をもとに公正な競争ができるようにし、さらに脱炭素化その他危機的な状況にある環境問題にこれまで以上に取り組み、また米国の農業従事者を支援し、持続可能で、強靭なサプライチェーンを推進し、COVID-19のパンデミックと闘うことなどを挙げ、そのため貿易パートナーや同盟国と共に、新たな貿易ルールのために集中的に取り組むとしている。
特に中国に関しては、米国の製造、投資、消費までも脅かすような歪曲的な貿易政策をとっており、これにより現在の貿易システム上の弱点が顕在化し、速やかな改革が必要となっていると述べ、労働者保護の欠如、脆弱な環境政策、競争阻害的な補助金等は、中国が意図的に競争面で有利な地位を築くものであるとして、中国へは厳しく対応することを明確にしている。
以上のほか、貿易パートナー、同盟国、国際機関等との関係強化に関しては、インド太平洋地域との関係、WTO、OECDにおける問題、さらにバイの問題が取り上げられ、日本との関係では、日米貿易に関する連携協定が昨年発効したこと、さらに鉄鋼製品の米国の輸入についてこれまでの実績をベースとした関税割当制度が合意できたことに触れ、2022年から日米共通の課題を取り上げるためこの連携協定に基づき継続的に協議し、協力関係を一層深め、持続可能で、強靭で、包括的な貿易政策を進めるとしている。
また貿易協定等の執行の強化に関しては、利用できるあらゆるツールを活用して労働権や環境基準の遵守を図ること、知的財産権を保護すること、規制については科学的根拠に基づくもので、予測可能なものとすること等を挙げている。
(出典:2022年3月1日発表の「2022年通商政策課題及び2021年年次報告書」)